「夢」と「ビジョン」を同じように使っている方が多く見受けられますが、二つの意味は明確に違います。
「夢」は将来実現したいと思っている事ですので、実現性は必要ありません。 しかし、「ビジョン」は実現性、その目標への道筋が必要となります。 「夢」が無ければ、「ビジョン」は生まれません
実は少し前に、仕事の下請けを取るために大きな清掃会社に面接に行ってきました。
さすがに大会社だけあって、下請け業者に対しても通り一遍のアンケートを出してきました。志望動機は、あなたの座右の銘は、尊敬する人は、あなたの夢は?

いやいや、下請けを貰いに来ただけだからとは言えないような感じの事務的なお姉さんに説明を受けたあと、書き終わったらチャイムを押してお知らせくださいと言われ、一人になりました。
改めてアンケートを見直すと、新卒の若者にするような質問内容です。ただ下請けをもらいに来ただけの、自営業をしている還暦近い親父が答えるようなものではないことは明らかですが、仕方ありません。一つ一つ答えていくことにしました。そして質問者の意図はなんだろうと考えてみました。中でも、あなたの夢はなんですか?という質問に注目しました。若者に対してなら、夢のない人間はタメだ、不採用となるだろうが、そもそも夢とはなんだろう、質問者は夢とはどんなものだと思っているのかと考えました。
例えば、将来社長になるとか、大金持ちになると答えたら、やる気のある人間だと思っているのかな?夢ばかり語るドリーマーだとは思わないのか?10代の子がミュージシャンになると言えば、夢があるねと言いますけど、30歳すぎて俺はミュージシャンになりたいんだって言っても、いいからちゃんと働け!ってなりますよね普通。
じゃあ、この質問の夢とはなんだろう。
結局、面接とはまるで関係のない思索に没頭することになり、面接担当者をかなり待たせることになってしまいました。多分そのせいで下請けを取れませんでした。

さて、先程の夢とは何かという点ですが、普通に考えたら、夢は若者が持つものであり年を重ねれば、それを達成するものと考えて良いでしょう。質問者もそれを聞きたいのだと思います。
でも、先程も書いたように、最近では夢ばかり語る若者や、夢ばかり見ているお花畑な平和主義者が多いので、夢という言葉を安易に使いたくないと思っています。
少し調べてみると、夢とは将来なりたい自分像ということです。それは、なれるかなれないかは関係ありません。夢を実現する計画も努力もありません。それに対しビジョンは、設定した目標に向かって達成可能な計画や手法があり、それをこなしていく努力が伴います。そう考えると、夢は漠然としたもの、ビジョンは具体的なものといえるでしょう。例えて言えば、夢はマラソンのゴールに一番にたどり着くことであり、ビジョンはそのためにコースを把握しペース配分を決め体力を維持した走り方、水分補給のタイミングなどの計画を持つことです。
マリナーズのイチローさんは、子供の頃にプロ野球の選手になるという夢を持ち毎日毎日同じようなプロセスで野球の練習をしました。バカにされたりからかわれたこともあったそうです。ても、プロ野球選手になるという夢は漠然としたものではなく、彼にはビジョンがあったので、実現可能なものだと感じていました。毎日練習して上手になることはもちろんのこと、高校時代の試合では、こうしたらプロ野球のスカウトの目に止まるとか、こうすることで選手生命を伸ばせるとか考えていたようです。よく野球漫画にあるように、今の一瞬を楽しめたら死んでもいいなんて考えていなかったんです。常に前にあるものを見据えていました。
ここが彼よりも才能があり彼を打ち負かした別の学校のエースピッチャーとの違いです。一瞬の勝負にこだわるあまり、無茶をし過ぎたのか、この人はその後ピッチャーとしての成績を残せず、消えていきました。勝負に負けたイチローさんは世界的に評価される選手になりました。ビジョンを持つとはこういうことです。目標がハッキリしており、それに向かって進むために細かな勝敗にこだわらない。それでも、やるべきことはしっかりやる。明確な計画があるのです。
もちろん口で言うのと実行するのは大きな違いがあり、継続することは更に難しいと思います。でもできれば多くの方に明確なビジョンを持ってほしいです。
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