ワーキングメモリをご存知でしょうか?
パソコンの話?と思われた方も多いかもしれません。
ワーキングメモリとは認知心理学で用いられている用語で、短時間に心の中で情報を保持し、同時に処理することを指します。
一般に短期記憶と同じように用いられることがあるようですが、厳密には違うものです。
でも、あまり難しいことを述べても分かりにくいので、大雑把に身近な例で考えてみましょう。
家で、何かを思いついて、それを自分の部屋に取りに行ったところで、机の上が散らかっていることに気づく。それを整理し終わって、「あれ、何しに来たんだったかな?」となることありませんか。
これは短期記憶を保持する力が弱くなっているわけで、ボケではなく単なる物忘れかもしれません。
なにか考えたこと、思いついたことがあるのに、気が散ることでそちらに注意が向くと前の考えが消されてしまい、もしくは脇に押しやられてしまい、なかなか思い出せないという状況です。
小動物が餌を探している様子を観察していると、そういうのってよくあることで、せっかく見つけたエサなのにほかのやつが取ったものが気になり、奪おうとして自分の手にあるものを落としてしまう。リスがやっているとかわいく見えるものです。では小さな子供がやっていたらどうでしょう。かわいいけど、ちょっと気になりますね。じゃあ、小学生がやっていたら、行儀が悪い、親のしつけがなっていないと思うでしょう。
でもこういうの今は多いんです。ADHDと呼ばれる発達障害の一つで注意欠陥多動性障害ともいわれます。ワーキングメモリの研究は、こうした障害の改善のために役立っています。
年を重ねてくると、先に述べたような気が散ることで生じる物忘れも似たような構造かもしれません。
まあ、クドクド述べてもしょうがないので、どうすれば改善できるのかを考えましょう。
簡単に言うと、特効薬はありません。すこしは改善できる薬はあるようですが直すことは難しいようです。
とはいえ、自分ができるちょっとしたことで大きく改善させることがあります。
まず、記憶力や思考力を高めるために実証された唯一の方法は、歩くことです。
「哲学者は思考し、数学者は歩行する」と言われます。歩くことは、脳の短期記憶を保持する部分である偏桃体が縮小することを防止し、逆に活発にする効果があります。ですから、毎日歩きましょう。足腰の筋肉を維持するためにも必要ですが、ボケ防止にも役立ちます。
もう一つ、ワーキングメモリを”鍛える”方法は昔の楽しいことを思い出すことです。楽しいことですよ。嫌なことや、悔しいことではなく。

楽しい思い出は人を幸福にします。幸福感は快感です。この時脳の中で脳内ホルモンが出ていて脳を活性化させてくれます。
そしてもう一つは、将来に生じるであろう素晴らしいことを思い描くことです。
例えば、将来自分はどんな風な豊かな生活をしているだろうか。世の中はどんなふうに平和になっているか。よい方面に想像します。この時はお花畑で結構です。自由に素晴らし世界を豊かな暮らしをしている自分を思い描いてください。それが具体的であればあるほど良いのです。
このイメージ力がワーキングメモリを鍛えるといわれています。
想像するだけですから、タダです。いつでもできます。
どうぞ、毎日歩きながら、街の様子を見ながら、過去のこと将来のことを考えてください。
ボケないで済むかもしれません。

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