毎日が忙しくて、何に動かされて働いているのか、何のために働いているのか分からなくなっている自分に気付くことはありませんか。
わたしは自分が,回し車の中をひたすら走るハムスターのようだ,と感じておられる方も多いと思います。
イギリスのメンタルヘルス慈善団体によれば,英国の勤労者5人に1人が,勤めていた期間中にストレスが原因で病気になった,と述べており,4人に1人はプレッシャーに対処できずに職場で泣いたことがある,と答えました。景気後退が生じた2009年には,1年間で抗うつ薬の処方せんの枚数がかつてないほど増加しました。
・何がストレスとなりますか
・経済的な不安
・多くの責務
・対人関係の問題
・心の傷となっている経験
ストレスからどんな影響を受けますか
・健康を害する
・感情面で疲れ果てる
・ぐっすり眠れない
・うつ状態になる
・人間関係が悪化する
ストレスにさらされると,体内で非常事態に対応するシステムが働きます。
ホルモンが分泌されて,呼吸が速くなり,心拍数が増え,血圧が上がります。また,蓄えられていた血球やブドウ糖がどっと血液中に放出されます。こうした一連の反応により,体はストレス因子つまりストレスとなる刺激に対処しようとします。ストレス因子がなくなれば体は普通の状態に戻るのですが,なくならなければ思い煩いや緊張が続いてしまいます。それは,回転速度が上がったままのエンジンに似ていて、体に対する負担が非常に強くなります。
ですから,心身の健康を保つためには,ストレスに対処する方法を知ることが大切です。

ストレスに対処するために
ストレスは何でも有害,というわけではありません。アメリカ心理学会はこう述べています。「人がストレスによって受ける影響は,バイオリンが弦の張り具合によって受ける影響と似ている。弦が緩すぎると,音が鈍くなり,かすれた感じになるが,張りすぎると,音が鋭くなり,弦が切れてしまう。ストレスは命取りにもなれば良い刺激にもなる。要は,ストレスにどう対処するかである」。
ですから、適切な対処法を知るようにしましょう。
考慮すべき点としてもう一つは,人それぞれ気質や健康状態が異なることです。ある人にとってストレスとなることが別の人にはそうでもない,というのはそのためです。ですから,通常の責務を果たすのにひどく緊張し,リラックスできなかったり時折の非常事態に対処できなかったりするなら,ストレスが強すぎる,と言えます。
慢性的なストレスを“解消”しようとして,酒や薬物,たばこなどに頼る人もいれば,食習慣が異常になる人や,テレビやコンピューターの前に座ったままになる人もいます。しかし,いつもそうしていたのでは,根底にある問題に取り組むことはできず,事態を悪化させてしまうだけです。では,どうすればストレスにうまく対処できるでしょうか。
まず、ストレスとなる場合の多い事柄を4つ取り上げて考えてみましょう。
1 不安感
不安を全く抱かない人はいません。では,どうすれば不安感に対処できるでしょうか。
信頼できる家族や友人に話しましょう。研究によると,家族や友人からの支えが常にあれば,大抵はストレス性の障害を抱え込まないですみます。
生じ得る最悪の事態ばかり考えないようにしましょう。そうするなら感情面で消耗してしまいます。恐れているような事柄は起きないかもしれません。
2 多くの責務
通勤,仕事,勉強,子育て,年老いた親の世話といった激務を果たしていると,強いストレスにさらされ続ける場合があります。しかも,そうした務めのどれかをやめることは不可能かもしれません。
3 対人関係の問題
他の人とのあつれきは,特に職場で生じると,大きなストレスとなり得ます。そのような問題を抱えている人には,できることが幾つかあります。
気に障ることをされても,穏やかさを保つようにしましょう。火に油を注ぐようなことをしてはなりません。
4 心の傷となっている経験
大なり小なり、つらい経験、嫌な出来事は心の傷になり、いつまでも残ってしまうことがあります。
いわゆるトラウマと呼ばれている悪い記憶が繰り返されることがあります。
できれば、つらい思い出を思い出さないようにしましょう。頭に浮かんでくるとき別のことを考えたり、家の外に出て運動をすることもいいでしょう。
ストレスに対処する方法
不安に対処するために、まだ生じていないことを心配しないようにしましょう。次の日の不安は尽きないからです。
リラックスする時間や休息を取るようにしましょう。
優先すべきことを優先し,つつましい生活をするようにしましょう。生活を簡素化する方法を考えてください。支出を減らしたり仕事時間を少なくしたりすることができるかもしれません。
だれかとの間に不和が生じたなら,その人と二人だけで話し,敬意を示しつつ解決するように努めて,相手の尊厳を傷つけないようにしましょう。
相手の気持ちや考えを洞察することに努めましょう。そうすれば,相手の身になって考えられるので,怒りを遅くすることができます。
許すようにしましょう。許すことは,美徳であるだけでなく,良薬ともなります。2001年に行なわれた研究報告によれば,「許せないと思う」と血圧や心拍数が「著しく上昇」するのに対し,快く許す態度を取るとストレスが軽減される,ということです。
2008年に英国の研究者たちが行なった調査がります。「ストレスの影響から立ち直る力」を得る方法の一つは,「自分を他の人に何らかの方法で与える」ことでした。これは,昔から聖書に記されていたアドバイスと同じです。「受けるより与える方が幸福」と書かれています。
希望をもつことも,生活上の様々なストレスに対処するための知恵も,非常に価値があります。
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